所有している物件の壁に広告を出すことにより、どのような効果を得られるのでしょうか。具体的な事例と、広告を出す際の注意点についてまとめました。
壁画であるミューラルアートに欠かせないもの、それは壁。日本でも広がりを見せているミューラルアートですが、それを描くための壁を貸し出し、活用するという方法があります。
大阪では、淀川エリアをミューラルの聖地とするためのプロジェクトである「淀壁」を展開。これは、2022年にスタートし、2025年の大阪万博まで続く壁画プロジェクトで、西中島・十三東・三津屋北などにミューラルが描かれています。
その中のひとつである「淀川のナイチンゲール」(写真)は、淀川区役所の隣にある会社の壁に描かれたもの。新型コロナが蔓延する中で懸命に働く医療従事者への感謝と敬意を表したアートとなっています。
この「淀川のナイチンゲール」が描かれた建物のオーナーである佐々木さん(写真)は、ご自身も美術関係の学校で学ばれていたという経験もあり、デザインやアートへの関心も高かったとのこと。生まれてから57年生活し続けている自分の街がアートで活気づくなら…という思いもあり、壁の貸し出しを即決したそうです。
描かれたアートは佐々木さんが思っていた以上に目立つもので、事前に見ていたスケッチよりもスケールが大きかったとのこと。ご友人からも「あれ、さっさん(佐々木さん)の建物だよね?」と話題になることもあり、街の人も立ち止まってミューラルを見たり、写真を撮ったりと、反応の高さに驚いたようです。
ミューラルアートの活動が始まってから、アートのために街の壁が使われることで活気づいたり、若い人たちがミューラルを目当てに訪れるような機会が生まれているそう。このように、壁を活用することで街に良い変化を生み出すことも可能なのです。
所有している物件の壁を企業や自治体などに貸し出し、広告収入を得るというのはひとつの手段です。しかし、ミューラルアートはとても目立つものであり、すぐには撤去できないものであるため、広告の内容や質にもこだわるべきでしょう。
たとえば露出の多いイラストなどは、所有物件やテナントのイメージダウンにつながる恐れがあります。壁を貸し出す場合、広告内容について細かく指定できない場合もあるため、どんな会社に貸し出すかが重要なポイントとなります。
ミューラルの会社を選ぶ際には、「各種法律・法令(屋外広告の禁止区域などもある)を遵守している」「作品の質が高い」「壁主の意向も大事にしてくれる」の3点に注目し、契約内容もしっかりチェックするようにしましょう。
ちなみに、先ほどご紹介した佐々木さんのオフィスビルの「淀川のナイチンゲール」は、WALL SHARE株式会社が手がけた作品。170以上のミューラルアートを手がけている会社で、渋谷の全長20m以上のアイナ・ジ・エンドのミューラルや、神奈川・埼玉エリアのJR沿線にある壁を活用したミューラルアートなど、全国の自治体ともタッグを組んで幅広く活動しています。
実績はもちろん、状況に応じた作品のリペアや、広告掲載が終わった後の原状回復といったサポート面も充実。アートを描く際には、近隣への配慮もしっかりと行っています。そんなWALL SHAREでは、壁を貸し出してくれるオーナーを広く募集しているので、情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。
壁の確保から、その場所・コンセプトに相応しいアーティスト選定、そしてアーティストが最大限クリエイティブを発揮できる環境作りを行うミューラルプロデュース会社。
アディダス、AVIOT✕アイナ・ジ・エンドなど、「ミューラル広告と言えば」で思い当たる多くのアートを手掛け、その数は2025年1月現在で170にものぼる。