町おこしとしてのミューラルアートは、地域活性化やコミュニティの結束を促進するための強力なツールとして、世界中で注目されています。以下に、ミューラルアートが町おこしに貢献する具体的な価値とその効果を解説します。
ミューラルアートは、アートを目当てに訪れる人を誘致する「観光資源」としての価値があります。
観光客は、SNS映えやユニークなアートを楽しむために、その地域を訪れるようになり、地元の経済にプラスの影響をもたらすでしょう。
たとえば、世界でも有名なミューラルアート地区(ロサンゼルスのアーツ・ディストリクト【写真】やフィラデルフィアの「Mural Mile」など)は観光客にも人気。地域の店舗やレストランの活性化も期待されています。
日本でも、富士吉田市の市役所庁舎の壁画、倉敷市のウォールアートなど、町おこしの一環としてミューラルアートを導入。観光地としての魅力を高めている地域があります。観光客が訪れることで地域経済が活性化し、宿泊施設や飲食店への収益増加が期待できます。
ミューラルアートは、その地域特有の歴史や文化、伝統を視覚的に表現する手段としても有効。地域のストーリーや背景を反映した作品を制作することにより、住民や観光客に対して、その地域のアイデンティティを強調することができるのです。
たとえば漁業や農業など、その地域の基幹産業にまつわるテーマをアートにすることで、地元の特徴や魅力を広く伝えることができるでしょう。
たとえばこちらはWALL SHARE社プロデュースによる富田林市市民会館の西側壁面のミューラルアート。アーティストが地元小学生とワークショップを行い、その中で「粟ヶ池の竜伝説」に着目し、竜をテーマにデザインをしました。
竜の体には、粟ヶ池周辺に生息する野鳥や草花などが描かれているなど、地域の色が込められています。
ミューラルアートによる経済的効果は、観光収益だけではありません。アートに魅了された新たなビジネスやイベントの誘致、店舗の活性化など、直接的な経済効果も見込めます。さらに、アーティストとのコラボレーションやアートツアーの開催など、新しいビジネスが生まれる可能性も十分にあるのです。
アートフェスティバルやアートツアーは、観光客の増加を促進し、地元のレストランやカフェ、宿泊施設なども恩恵を受けます。また、地域の美化によって、土地や不動産の価値が向上する可能性もアリ。投資や開発プロジェクトの誘致にもつながります。
「FUJIFILM INSTAX presents MURAL TOWN KONOHANA」は、WALL SHARE株式会社と「インスタントフォトシステムINSTAX“チェキ”」を展開する富士フイルム株式会社がタッグを組んだプロジェクト。
ミューラルを描くための「良い壁」が多い此花区の特徴を活かし、世界中のミューラルアーティストが集結。2026年までに、30作品以上のミューラルアートの完成を目指しています。
このプロジェクトを通じて、此花区は海外アーティストの作品に触れられる希少な場として注目されると共に、誰もが気軽にアートに触れられる場として活性化することが期待されています。
岡山県真庭市では、2024年10月に公共スケートボードパークに床面ミューラルを作成。そのサイズは1,000平米と、日本最大級のスケールとなりました。
この企画は、真庭市地域おこし協力隊員の声掛けによって立ち上がったもので、岡山県真庭市久世で行われた「久世藝術祭2024」との連動イベント。制作を担当したWALL SHARE社は、3週間という滞在期間中に作品を通じての多世代交流を実現しました。
ミューラルの完成お披露目イベントでは、真庭市市長参加のテープカット、地元企業のマルシェ、ミューラルアーティストSUIKO氏のトークセッション、地域の若者によるブレイクダンスプログラムなど、さまざまな企画を実施。全長100mのDoodle Paper(超巨大お絵描き用紙)に、老若男女が自由にアートを描くイベントなども催され、新たな文化交流が生まれるキッカケとなりました。
壁の確保から、その場所・コンセプトに相応しいアーティスト選定、そしてアーティストが最大限クリエイティブを発揮できる環境作りを行うミューラルプロデュース会社。
アディダス、AVIOT✕アイナ・ジ・エンドなど、「ミューラル広告と言えば」で思い当たる多くのアートを手掛け、その数は2025年1月現在で170にものぼる。