ここでは、これから壁画広告を発注したいと考えている広告主・代理店における、ミューラルアートのメリットについて解説していきます。
WALL SHARE社が担当した実際の事例もご紹介しています。
都市の景観に彩りを与えるだけでなく、文化的なコミュニケーションの一環としても注目されているミューラルアート。海外では当たり前だったミューラルアートですが、近年では日本でも話題となることが増えています。
消費者に深く印象を与え、ブランドの認知度やイメージを向上させる手段として、さらには企業や地域のプロモーションとしても有効なツールとなっています。場所は都内であればやはり渋谷が人気ですが、地方では公園の壁なども使われます。
日本における壁画広告のメリットは、他の広告手段と比べて、視覚的なインパクトや地域との結びつきを強調できる点が大きくなっています。以下に、期待できる主なメリットについてご紹介していきます。
ミューラルアートはビルや外壁といった大規模な壁面に描かれるため、他の広告手段に比べて視覚的なインパクトが大きくなります。
とくに日本の都市部では、電車や車、人の通行量が多いエリアで広告を展開することにより、多くの人々の目に触れる機会が増えるでしょう。
また、ミューラルアートは制作過程すら画になるので、看板やポスターよりも長期間にわたって強い印象を残すことができます。
デザイン性が高くユニークなものが多いミューラルアートは、通行人が写真を撮影してSNSにアップしやすいという特徴があります。
とくに日本では、インスタグラムやXなどのプラットフォームで「映える」スポットとしてシェアされることが多く、自然に広告が拡散。広告主が意図しなくても消費者の間で口コミが広がり、より多くの人に情報が届く…といった結果につながりやすいのです。
アーティストもシェアした広告
日本オーディオブランド「AVIOT」の広告として2022年に渋谷に登場した20mのミューラルアート。描かれているアイナ・ジ・エンドさん自身がミューラルアートを撮影し、SNSにアップしたことでも話題を呼びました。
広告業界でも話題になり、「この案件から依頼が増えた」と担当したWALL SHARE社のディレクター・川添さんも話していました。
日本では、地域ごとの特性や文化に根ざしたミューラルアートが増えています。
たとえば、地域の観光資源や地元文化を反映したアートを制作することで、その地域自体のイメージがアップ。これにより、広告が単なる商品やサービスの宣伝を超え、地域コミュニティとのつながりを深める役割を果たします。また、地域住民がその広告に対して親しみを持ちやすくなり、ブランドイメージの向上にも寄与します。
企業がアートを応援するために自社所有の建物を使うパターンも増えており、以下にその事例をご紹介します。
ヤンマーによるミューラルプロジェクト
トラクターなどでおなじみのヤンマー。ヤンマースタジアム長居など、もともとスポーツへのサポートが非常に手厚い企業ですが、スタジアムの壁を使った「HANASAKA MURAL」というアートプロジェクトも展開しています。
ヨドコウ桜スタジアムの北西エントランスにある壁に年3回程度、ミューラルアートが描かれ、地域の人の楽しみになっています。
ミューラルアートは、通常のデジタル広告や印刷による広告とは異なり、長期にわたって掲出されるケースが多め。1度設置されると数ヶ月~数年にわたって残り続けるため、長期的なプロモーション効果が期待できるのです。
とくに、観光地や商業エリアに設置されたミューラルアートは地元住民だけでなく、訪問者の目にも継続的に留まるため、より長期にわたってブランドの認知度を高めることができます。
観光客が思わず足を止める店
くら寿司新世界通天閣店に描かれたミューラルアートです。新世界という場所もあり、多くの国の人が行き交いますが、思わず足を止めて写真を撮る人を毎日のように見かけます。
これを描いたKACさんは、King Gnuや多くのアーティストのアートワークも担当する有名ミューラルアーティスト。2023年に曙橋マラソンコース沿いに大塚製薬「BODY MAINTE」の広告で大迫傑選手を描いたミューラルアートでも知られています。(「BODY MAINTE」もWALL SHARE社が担当しています)
ミューラルアートはその名の通り「アート」。単なる商業的なメッセージに留まらず、芸術として人々に感動やインスピレーションを与えることができます。
日本の都市部では、アーティストやデザイナーとのコラボレーションによって、単なる広告を超えた芸術作品としての評価を得ることがあり、これによってブランドの文化的価値が向上。アートとして認識されることで、広告に対する反感も少なくなることがあります。
デジタル広告が主流となる中で、ミューラルアートはアナログな手法として差別化を図ることができます。多くの情報が瞬時に流れていくデジタル広告は、情報過多に陥る消費者も多いですが、ミューラルアートは物理的な存在感を持つため、消費者の視界や記憶にしっかりと留まりやすいのです。
代理店の皆さんにおいては、いかに新しいものをクライアントに提案するか日々試行錯誤しているはず。ミューラルアートというダイナミックな提案は、クライアントも新鮮に感じるのではないでしょうか。
ミューラルアートは、他の広告手段と比べてもクリエイティブな表現の自由度が高くなっています。壁全体をキャンバスにして、立体的な視覚効果や大胆なデザイン、色彩を使った広告が可能であるため、ブランドの個性を強調するのに適しているのです。ブランドや企業のメッセージをより独創的に表現し、他の広告と差別化することができます。
ミューラルアートの費用相場は、さまざまな要因によって大きく異なります。
ミューラルアートの費用は、主に描かれる面積(平方メートルや平方フィート)に基づいて計算されることが多くなっています。一般的な相場は以下の通り。ただし、都市部での大規模な広告になるほど高額になる傾向があります。
アーティストの知名度や経験値によっても、制作費用は大きく変わってきます。
ミューラルアートのデザインが複雑であるほど、費用も高額になる傾向があります。シンプルなデザインやロゴのみといった広告であれば約30~100万円、詳細な風景や人物像などを描くデザインでは100~500万円、またはそれ以上になるケースも見受けられます。
また、ミューラルを描く場所やアクセスの難易度にも費用は左右されます。アクセスしやすい場所であれば追加コストはゼロもしくは少額となりますが、高層ビルや特別な装置(クレーンや足場)が必要な場合は数十万円~数百万円の追加費用が必要となることもあります。
使用するペイントや素材、特殊な技術(AR機能など)が必要な場合、それもコストに反映されます。通常のペイントや素材であれば比較的安価となるため、追加コストはそれほどかかりません。耐久性の高い塗料や特殊な素材が求められる場合はコストが高くなり、数万円~数十万円の追加費用が発生することがあります。
ミューラルアートの掲出が一時的なものなのか、それとも長期間にわたるものなのかによっても、費用は変わってきます。数ヶ月程度の期間限定の場合、数万円ほどの撤去費用を追加される可能性があります。数年にわたる長期間の広告の場合、リペイントなどのメンテナンス費用が必要になるケースも。
ただ、1度の制作で長期間使用できるため、結果的にコスト効率が良くなることもあります。
壁の確保から、その場所・コンセプトに相応しいアーティスト選定、そしてアーティストが最大限クリエイティブを発揮できる環境作りを行うミューラルプロデュース会社。
アディダス、AVIOT✕アイナ・ジ・エンドなど、「ミューラル広告と言えば」で思い当たる多くのアートを手掛け、その数は2025年1月現在で170にものぼる。